黒くなり始めたバナナを前にして
台所に、ヒョウ柄のような点々が増えてきたバナナが一房あります。
見て見ぬふりをするには、そろそろ限界でした。
そこで、この日はAIのトキちゃんに声をかけました。
レシピを探す前に、状況を一度並べてみたかったのです。

まこち
トキちゃん。
バナナが黒くなってきてて。
捨てるほどじゃないんやけど、どう扱えばええか迷ってる。

トキちゃん
判断しにくい状態ですね。
まずは、今ある条件を並べてみましょうか。
作り方を聞く前に、話が始まった
何を作るかを決める前に、話が始まりました。
台所で、手元にある材料を一つずつ思い出していきます。 会話は、料理というより、今の状況を整理するためのものでした。

まこち
ミルクは無いんよね。
卵とホットケーキミックスはある。

トキちゃん
それなら、できることはありそうですね。
まずは、その条件を前提に考えてみましょう。
これで合ってるのか分からない時間
炊飯器で一度、スイッチを入れました。
終わってみると、できているような、まだ足りないような、はっきりしない感じです。
もう一度回してみましたが、それでも手応えは曖昧なままでした。
生焼けなのか、それともこういう仕上がりなのか。
よくわからない時間が、少し長く続きます。
いい匂いはするんですけどね。
普段、料理をする方ではありません。
今回は思いつきで手を動かし始めた分、仕上がりの基準も持っていませんでした。
正解が分からないまま進めているので、目の前の状態をどう受け取ればいいのかも曖昧です。

まこち
これ、ちゃんとできてるんかな。
触ると、柔らかすぎる気もする。

トキちゃん
今の材料だと、その柔らかさは自然かもしれません。
もう少し様子を見る、という選択もありますよ。
少し考えて、保温に切り替えることにしました。
あとから振り返ると、この時の柔らかさは、バナナ由来のものでした。
ただその場では、失敗かどうかも含めて、まだ分からない状態だったと思います。
なんだか、あっさりしていた理由
食べてみると、どこか物足りなさを感じました。
失敗というほどではありませんが、普段食べているケーキとは、やはり印象が違います。
味が薄い、というよりも、
いつも当たり前に感じている要素が、少し抜けているような感覚でした。

まこち
なんか、あっさりしてるな。
思ってた感じと、ちょっと違う。

トキちゃん
市販のものと比べると、違いは出やすいですね。
使っている材料を、一度振り返ってみましょうか。
そこで気づいたのが、バターを入れていなかったことでした。
それは欠けていた、というより、最初から選んでいなかった要素です。
コクが足りないのは事実ですが、
それは失敗ではなく、配合の違いだと受け取れました。
バターの存在は、思っていた以上に大きいのだと感じました。
食べるときに少し足せばいい、という選択肢が残っていることにも、この時点で気づいています。
翌日、もう一度食べてみたら
翌日、もう一度食べてみました。
すると、出来立てのときとは印象が少し変わっていました。
全体が落ち着いていて、前日に感じた曖昧さがありません。
水分がなじみ、甘みが前に出ているように感じます。
この配合は、すぐ食べるより、時間を置いた方が合っていたみたいです。

まこち
あ、昨日より美味しいな。

トキちゃん
寝かせたことで、まとまりが出たのかもしれませんね。
もしかすると、味そのものだけでなく、
こちらの舌が少し慣れた部分もあったのかもしれません。
黒いバナナを残念にしなくても済んだ
黒くなったバナナを、ただ消費するだけなら、もっと簡単な方法もあったと思います。
それでもこの日は、試して、考えて、少し遠回りをしました。
正解を出したわけではありません。
うまくいった、と言い切れるほどでもないかもしれません。
それでも、途中で投げずに向き合えた分、納得は残りました。
料理をしながら、トキちゃんと話しつつ、いろいろ考えていた時間でもありました。

